睡眠とは? 眠りの生理①
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眠れることは当たり前?
いつもありがとうございます。
眠れることが当たり前と感じ入る人が多いと思います。不眠有無に関係なく、眠ると言う行為はみなさんに生じます。
ただ、その眠りが「良いか」「悪いか」について別です。良いか悪いかを判断するにも、まずは眠りを理解し、その眠りの過程を知る必要があると考えています。
”夜になれば勝手に眠くなるのでは?” ”眠くなるのが当たり前”と思っているかもしれませんか?
みんなが当たり前に思っているからこそ、気がつけないし、気がつくことがなかった「眠りの科学」。この分野のこの研究は二十世紀に入って本格的に行われ、まだ研究段階で、新しい知見が出ている段階で、統一された見解がないという私は見ています。私がとあるところで睡眠の研究のお手伝いをした時の知識や一般的な知識も含めて、なぜ眠りが生じるのかという「眠りの生理」についてお話をします。
人の睡眠のメカニズム
私たち人間は、ほぼ同じ時刻に眠気を感じて眠りについて、7-8時間ほどで自然に目が覚めるようになっています。この自然の流れは、脳内と体内の睡眠に関する機序によって作られています。
良い睡眠は、夜間に自律神経やホルモンなど様々な生体機能が機能して、脳や体の疲労を回復させます。また、睡眠は一律ではなく、浅い睡眠で夢を見る「レム睡眠」と深い睡眠で脳(大脳)を休める「ノンレム睡眠」が約90−120分周期で変動しています。この周期を何度か繰り返して朝の目覚めにちょうど良い状態になるようになっています。
この睡眠の流れを逸脱するのが「徹夜」です。身体と脳を休める時間帯に活動するのですが、徐々眠気は強まり、明け方になると耐え難い最大限の眠気を感じ流ことになります。この眠気を超えるといったん軽くなることがあります。このように決まった時刻に眠気が出現し、また醒めてゆく睡眠(眠気)のリズムが私たちの体の中にあるようです。
私たちの眠気―睡眠の流れはどうなっているのでしょうか?
私のセミナーでは眠りについて考える時、朝の行動から振り返らせます。それは、夜眠るためには朝の目覚めから始まっているということだからです。
人は、朝起きた時に太陽の光が目に入ると、「松果体」が刺激され、血液中にある「トリプトファン」というアミノ酸が分解されて「セロトニン」ができます。朝の太陽の光を浴びてから13-15時間程度経過すると、松果体から「メラトニン」という睡眠を誘導数ホルモンが分泌され始めます。これでだけでは、人は眠りにはつくことは難しく、この機序は「脳」が感じる睡眠ということになります。
朝の行動を振り返る時に、「目覚め」とともに「食事」を確認します。
目覚めは、「脳の睡眠」で、食事は「身体の睡眠」で、脳と体の睡眠を感じる機序は別であり、それを一致させることが「睡眠」を作る一因として考えているからです。
食事がどう関係するのでしょうか?
私たちは食事をすると、食べ物を栄養素に分解して、体内の吸収させるホルモンの一つに「インスリン」というものがあります。このインスリンが細胞内の日内時計を刺激することで、個々の細胞の睡眠リズムを調整するという働きがあるのです。この細胞内の日内時計は、脳と違って明暗に関係なく朝食によって動き出すことが分かっています。
つまり、朝の目覚めの光と朝食の時間がずれると、脳と身体の睡眠のリズムがバラバラになるということです。脳と身体の不一致は、倦怠感や疲労感を強くすることになりますので、私のセミナーでは、朝の行動から振り返ることから始めることが多いのです。
体内時計を朝食で整えると良いことなの?
朝食(正確には12時間程度空いた食事)により、リセットされた体内は、細胞の代謝は良くなり、血圧・体温が上がり、覚醒して活動するのに適した状態が10~12時間程度続きます。このパターンだと、眠りが強くなる1−2時間程度最も体温が高くなり、手足の末端から放熱(手足が暖かくなって状態)して、体内の温度を下げて、自然な体の眠気を誘発することになります。
これらの要因で、脳と身体が眠りやすい状況を作ることになります。実は、これは24時間のサイクルで動かされており、夜にサイクルがあります。ただ、夜眠りを作るための方法として朝の状態から説明をしました。
これは「既日リズム:サーカディアンリズム」と呼ばれており、約24時間周期で変動する生理現象で、動物、植物、菌類、藻類などほとんどの生物に存在しています。人間は24.5-25時間周期であると言われていますが、脳と身体の時計でそのズレを修正しています。睡眠を考える上で、サーカディアンリズムは欠かせないものですので、今後も取り上げていきたいと思います。
「理学療法士が考える健康 超・快眠セミナー 睡眠改善」では、良い睡眠を作るには、全体を知ることと、個別応じた対応策が必要であると考えています。睡眠に悩んでいる方がいましたら、気軽にご相談をください。