理想の睡眠時間をどうするか?
睡眠は私たちが生きていく上で、必要な生理的行動の一つです。睡眠中に私たちは、日中に学んだことや学習したり、肉体的な疲労回復が行われています。しかし、寝不足になることで、これらが行われなくなり、心身へのダメージが与えられ、回復を遅らせることになってしまいます。睡眠時間の不足や睡眠の質の悪化は、生活習慣病のリスクにつながることがわかってきました。
厚生労働省から「健康づくりのための睡眠指針2014」がでています。この指針では、睡眠における正しい知識や睡眠を見直しにより、からだとこころの健康づくりを目指しています。
日本人の平均睡眠時間の推移をグラフで見ると、以前にもお話ししたように年々短くなっていることがわかると思います。睡眠時間は、1970年代には8時間5分(485分)だったのに、2016年には7時間38分(458分)と減っていることは明確です。そして、有業者(就業)している人の睡眠時間は7時間19分(439分)となっており、働いている人の睡眠時間が短くなっていることがわかります。
世界の睡眠時間を比較すると、OECD(2019年)の調査からみても日本の睡眠時間は7時間22分(442分)で一番短い睡眠時間ことがわかります。睡眠を取ることの重要性や効果について考えると、日本人の睡眠について考えないといけないですよね。この点を考慮して、日本としても国を挙げて睡眠に取り組んでも良いのではないでしょうか?
睡眠時間を考えてみよう
睡眠時間が 6 時間未満になると、居眠り運転の頻度、追突事故や自損事故の頻度が高いことわかっています。ある研究では、夜間睡眠を約 5.8 時間制限すると、制限せずに約 8.6 時間の睡眠時間と比べると、眠気が増し、注意力が低下することわかっています。
日本の睡眠時無呼吸症候群のある方は、男性で約 9%、女性で約 3%で、日中の眠気を引き起こす代表的な睡眠障害であり、中等度以上の睡眠時無呼吸症候群出る場合、5 年間での複数回の事故経験が通常の方と比べて、約 2.4 倍になることがわかっています。
このように、睡眠不足によるリスクは調査研究で明らかになってきていますが、その対応作である「何時間眠ったらよいか」どう考えていきましょう?
睡眠時間から考えてみると、3時間程度で生活できるナポレオン型から10時間以上眠らないともたないアインシュタイン型まで個人差が大きくあります。その中で、日本では8時間睡眠を目標にする人が多いです。その理由はわかりませんが・・・。
睡眠のメカニズムから考えると、8時間睡眠は10代がピークで、以降は年々必要な睡眠時間が減っていくことがわかっており、10年で10分ずつ短くなり、60代では6時間半ほどになり、80代になると平均睡眠時間は6時間を切ることが多くなります。
これ考えると、無理に睡眠時間を目標に決めなくても良いのではないでしょうか?年齢別にある程度の睡眠時間が必要なことを理解しておき、「睡眠の質」を上げることが重要になってくると思います。
「睡眠の質」をあげること?!
「眠る時間を決めよう!」と無理な目標を立てることはせずに、「睡眠は量より質」と捉えて、その上で自身の生活や仕事に大きな支障がでないような睡眠ができれば良いと考えられたら良いのではないでしょうか?
睡眠不足は、日中の眠気だけでなく、生活習慣病の悪化や記憶力の低下やミスや事故を招きます。自分の調子が整えらえる睡眠時間が確保できていればよいと思います。
そもそも「睡眠」は「量」と「質」のバランスが重要です。質の悪い睡眠状態が長期間続くと、高血圧、糖尿病、うつ、がん、脳卒中などの様々な病気にもなりやすくなります。また、認知症のリスクが高まってくるとも言われています。健康を保っていくためにも、正しい眠りの知識と習慣を身に付け、良質な眠りを確保していきましょう。
資料:
厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」
第1回 健康づくりのための睡眠指針の改定に関する検討会資料
平成26・29年版厚生労働白書
総務省統計局「社会基本調査」
OECD健康統計2019
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