睡眠が少子化を招く?!
目次
2000年代からの社会問題から睡眠問題へ繋がり
2000年代以降で、社会問題は「少子高齢化問題」に始まり、様々な経済状況の悪化・停滞の中で労働人口減少からの「雇用システムの変換」となり、近年では「働き方改革」とこの30年間で急激な変化がありました。その働き改革では、社員の健康を考える取り組みの中で「睡眠負債」へつながってきました。
社会的背景で生じた一連の流れと思われがちですが、実は少子化と睡眠問題が関わっていると聞いたらどう思いますか?
睡眠と健康問題
仕事が忙しい状態が続くと、夜遅くまでになり、睡眠時間を短くなってしまいます。睡眠時間が不足することで、心身に様々な影響が起こります。例えば、ストレスへの感受性が高くなり、ストレスの心身負担が増えてしまったり、集中力が低下し、認知機能が鈍ったり、パフォーマンスの質を下げ、事故や怪我を招きやすくなってしまいます。また、ストレスの蓄積により脳への負担から「うつ」のような病気にまで至ってしまうこともあります。
睡眠不足で起こる男性の問題
睡眠不足は男性ホルモンの一つである「テストステロン」を減少させてしまいます。シカゴ大学のレイチェル・ルブルルト博士によると、1週間の睡眠時間が5時間程度の場合、日中のテストステロンレベルが10-15%減少するとのことでした。このテストステロンの低下は、生殖機能の低下があることやメタボリック症候群の発現がしやすくなり、骨粗鬆症、心血管疾患、内臓脂肪の増加、耐糖能異常、高脂血症のリスクが増加することがわかっています。
また、南デンマーク大学のティナ・コールド・ジェンセン博士の調査によると、睡眠障害のスコアが高い男性は低い男性と比べると総精子数が25%減少、形態学的に正常な精子も1.6%減少していると報告があります。
中国のチン・チェン博士は、精液量・総精子数と睡眠時間について調査しています。睡眠時間7-7.5時間が精液量・総精子量が最大でした。睡眠時間が9時間を超えると精液量21.5%、総精子量39.4%が減少、また睡眠時間6.5時間以下になると、精液量21.5%、総精子量39.4%が減少していたという報告がありました。
つまり、睡眠不足でも過度な睡眠であっても、精子の量が減少し、形状異常が生じているということがわかりました。先進国は慢性的な睡眠負債を抱えており、即ち男性の生殖健康について潜在的な影響を与えている可能性があることが考えられました。
睡眠不足で起こる女性の問題
男性と比べて、女性の方が複雑です。睡眠と女性ホルモンとの関係を大きく、女性ホルモンに分泌の指令を出しているのが、視床下部や下垂体と呼ばれる部分になります。脳では、常時ホルモンの分泌量を管理しており、その都度分泌量を調整しています。
PMS(月経前症候群)といわれる状態で、強い眠気を感じる人がいます。これも女性ホルモンが関わっており、排卵期になるとプロゲステロンというホルモン分泌量が増えます。プロゲステロンの作用として、体を休ませようとするので、眠気がどうしても強くでてしまいます。そして、生理が終わると、約2週間程度はエストロゲンが分泌されるので、体調が安定し、正常な睡眠がもたらされるそうです。これには個人差があり、生理前になると寝付きが悪くなる方もいるようです。
女性はホルモンの影響によって睡眠状態が変わることがわかります。
現代社会は、女性も社会進出のしており、仕事による睡眠負債の影響は女性にも起きています。女性の場合、睡眠時間が6時間以下になると、卵巣刺激ホルモンが20%程度減少し、月経周期が異常(短期または長期)になる可能性が高くなります。勤務時間が不規則な仕事をしていると生理不順が3割程度高くなることがわかっています
Rotating night shift work and menopausal age(Human Reproduction. 34(3),2019)
睡眠で少子化が変わる
睡眠時間を確保することで、生殖機能に大きく関係する可能性があるのではないのでしょうか?
人の最適な睡眠時間については、年齢ごとに異なるというデータ
もありましたが、これをもとに考えるというよりも、切実な問題があります。
「人が妊娠できる期間は無限ではない」ということです。
男女共に、仕事や家のことに時間を追われ、睡眠時間が取れないと、子育て環境が整ったとしても、果たして子供ができる環境なのかということとは別であると考えられます。
生活の中で睡眠する時間を確保する工夫をしていくことが必要ではないかと思います。
・女性の妊娠力が高まる(卵子の質も高い)睡眠時間は7.5-8.5時間
・男性の総精子数や精子の形状が多くなる睡眠時間は7-7.5時間
とはいうものの、これだけの睡眠時間を確保する事は難しいのが現実ではあります。
ただ、子供が欲しいからと睡眠時間を確保するということではなく、自身の健康を保つことから睡眠を考えていくことから始めても良いと思います。
今回、睡眠不足による少子化問題についてまとめてみました。睡眠が単なる「心身の不調」や「働き方」という問題だけではなく、先進国が悩んでいる「高齢化問題」にも関係しているということになります。睡眠を通して様々な社会問題との兼ね合いを考えても面白いかもしれません。
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