寝ているだけでダイエット?
極端な話にもなりますが、寝て起きるとお腹が空いていることがありませんか?
ご存知の通り、私たちは寝ている時も寝返りを行っており、体を動かしています。それに、呼吸もしますし、体内では消化もしています。つまり、寝ているだけなのに、体力を使っているのです。
たまに、いつもよりも寝て起きた時、なんとなく気怠いと感じることありませんか?
「睡眠」は脳と身体の疲労回復をさせているはずなに、「疲れてしまう」という現象は、同じ姿勢で寝てしまうことで、全身の筋肉を使わない時間があり、血行不良となって体にコリや疲れが出てくるのではないかと考えられます。
実際に、睡眠中で消費するカロリーはどれくらいでしょうか。
寝ているだけも体力は使われています
睡眠中に消費される代謝は低く、基礎代謝よりもないと言われていましたが、最近では基礎代謝と同じくらいの代謝消費量があるということが判明しています。
例えば、20代前半女性で体重50kgの人が、十分に睡眠が取れた場合300Kcalを消費することができると言われています。これは、約40分間のランニングと同じ消費カロリーです。つまり、寝ているだけなのに、カロリーが消費されることになります。
代謝を促すホルモン:成長ホルモン
「成長ホルモン」は、脳下垂体から放出されるホルモンで、肝臓や筋肉、脂肪などのさまざまな臓器で行われている代謝を促進することができます。
このホルモンは、思春期前を1とすると、思春期後期で2倍くらい増えますが、30-40歳台で50%、60歳で30%くらいになって、加齢とともに低下していきます。主に、ノンレム睡眠中に分泌される量の多いです。
深い睡眠が、代謝を上げるには必要なホルモンになります。
エネルギーを作るホルモン:コルチゾール
「コルチゾール」は副腎皮質ホルモンの一つで、炭水化物、脂肪、タンパクの代謝に関わっています。代謝としては、体内に蓄積された脂肪をエネルギーへと変換する働きがあり、睡眠後期にピークとなり、起床後30-60分くらいまで大量に分泌されると言われています。
また、ストレスによっても分泌が亢進されるホルモンです。分泌される量によっては、血圧や血糖をあげたり、免疫機能低下や不妊を起こすことがあります。また、最近では、記憶に関わる海馬を萎縮させたという報告もあります。
燃焼ホルモンは睡眠中にでる!
寝始めて3時間以内が「成長ホルモン」が大量に放出されます。その後「コルチゾール」が睡眠後3時間程度と起床後に大量に分泌されます。但し、成長ホルモンはノンレム睡眠のように深い睡眠いならないと大量に放出されないので、深い睡眠が必要不可欠になります。
逆に、眠れないことになるとどうなのでしょうか?
眠れなくなると「グレリン」というホルモンが多く分泌されるようになります。「グレリン」は、食欲中枢を活発にさせて、食欲を増大させてしまいます。
つまり、睡眠時間が少なくなると、食欲が抑えきれなくなり、食べすぎになってしまうということです。
そして、食べすぎることで体内に脂肪が蓄積することで、食欲を抑える「レプチン」の働きが鈍くなってしまい、より食べることへの欲求を抑えることが難しくなってしまうということになります。
これが眠れないことで「太ってしまう」という理由になります。
睡眠中の消費カロリーは?
成長ホルモン量は年齢を重ねていくとともに減っていくということで、睡眠中の消費するカロリー減っていきます。
体重1kgあたり1分間で0.0170kcalを消費しており、「性別」、「体重」、「年齢」、「基礎代謝」などで補正して睡眠中の消費カロリーを求めることができます。
睡眠中の消費カロリー
=体重(kg)✖︎0.0170(kcal)✖︎時間(min)✖︎年齢係数
補正係数 | 男性 | 女性 |
15-29歳 | 1.00 | 0.95 |
30-39歳 | 0.96 | 0.87 |
40-49歳 | 0.94 | 0.85 |
50-59歳 | 0.92 | 0.84 |
60歳- | 0.91 | 0.84 |
この式から考えると、毎日7時間睡眠時間を確保している20代の女性がいるとすると、1回の睡眠で350kcal前後のカロリーを消費することになります。脂肪1kgを落とすには約7300kcalが必要とされるので、単純に20日あればで1kgダイエットができるということになります。
が??なぜ痩せないのでしょうか?
一つは「睡眠の質」に問題があると考えられます。良質な睡眠を取れていなければ、放出されるべきホルモンがないため、消費予定とされるカロリーができていないということになります。
返って、寝不足や睡眠不足にあることで太る可能性があるので、寝ているだけで毎月1kgダイエットは、「質の良い」睡眠が取れないことには、難しいということになります。
つまりは、「質の良い睡眠」がとれれば、ダイエットは可能ということです。
睡眠ダイエットを達成するには
安眠できる環境を作りましょう。質の良い睡眠を作る一つの要因として「入浴」です。入浴で体温が高まって、その後徐々に下がることで程よい眠気が生じてきます。
睡眠時間の短い人は、長い人よりも肥満であることは睡眠時間が関わっており、平均睡眠時間が7時間以上の人と比べると、6時間で23%、5時間で50%、4時間未満では73%も肥満の傾向が高くなるということから、「睡眠時間は7時間」は欲しいということです。
日中に適度な運動を行うことで、夜に自然な眠りを誘います。寝る直前の激しい運動は眠気を飛んでしまいますので辞めましょう。普段から運動することがない場合、1日8000歩以上を目標に歩くことを勧めます。
毎日の運動が生活リズムを整えることにもなるので、運動を行うことが、上質な睡眠を得る手立てにもなります。
この眠りの質を高める方法をリンクしておきます。
まとめ
今回は「寝ているだけでダイエット」ということについてまとめてみました。寝ることで消費されるカロリー計算からの結果ですが、なかなかダイエットはされていません。これを達成するためには「質の高い睡眠」が必要になってきます。
「寝るだけダイエット」を行うためにも「睡眠環境や習慣」を考えてみましょう!
参考文献:
How Your Body Uses Calories While You Sleep
睡眠関連のホルモンの計測,田ヶ谷浩邦,生体医工学,46(2),2008,pp169-176